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中小企業のための「東京ゲームショウ ビジネスデイ」出展完全対策マニュアル

2023年9月21日(木)と22日(金)、イラスト・ゲームイラスト制作会社ミリアッシュは東京ゲームショウ2023に出展しておりました。2017年の設立時から毎年出展しようと思い、コロナ禍を挟み、今回で4度目です。この記事では、そもそも「東京ゲームショウってなに?」といった部分から、ビジネスデイへの出展の流れも記しています。

2023年10月23日

記事に興味を持ってくださり誠にありがとうございます。

東京都府中のイラスト・ ゲームイラスト制作会社ミリアッシュの代表をしている竹谷と申します。

去る2023年9月21日22日、東京ゲームショウ(以下TGS)へ出展してきました。

文字通り「東京で開催されるゲームの展示会」で、会場が千葉県の幕張メッセのため「東京ディズニーランドは千葉にある」理論でまれに突かれるのですが、1996年から続く歴史あるゲーム業界の祭典となります(最初は国際展示場でした)

1996年はゲーム機で言うとスーパーファミコンの後期にあたり、カセットでなくディスクをソフトとして用いるプレイステーションやセガサターンなどが登場していた頃でした。つまりソニー・コンピュータエンタテインメントとセガ・エンタープライゼス(双方当時の社名)のもと、多くのゲーム企業が集結して始まったのがTGSです。それはいわば任天堂”以外”と見ることもでき、そのためTGSは、現在でも任天堂自体の出展は基本的にありません。

一方でどのような企業が出展しているかというと、たとえば今年ではカプコン、コーエーテクモゲームス、コナミデジタルエンタテインメント、スクウェア・エニックス、セガ/アトラス、バンダイナムコエンターテインメント/バンダイナムコオンラインと、国内企業だけを見ても絢爛豪華で、日本を代表するゲーム企業が一堂に会する内容となっています。

東京ゲームショウ会場マップ(https://tgs.nikkeibp.co.jp/tgs/2023/jp/display/map/ より)

そのTGSに、ミリアッシュは4年ぶり4度目の出展をして参りました。会社設立の2017年から私のワガママで毎年出続けるもコロナによる中断を余儀なくされ、ようやく今年再開できたかたちです。また、前職時の出展も含めると7度目となります(当時も私のワガママによります)。

「なぜそんなに出展するんですか?」

そう聞かれることも少なからずあるため事前にお答えさせていただくと、理由は3つです。

 

1. 最新ゲームの試遊を、あまり混んでいない中でできる。

なんの話をしているのかとお思いかもしれませんが、この記事のタイトルにもあるように、弊社が出展しているのはビジネスデイとなります。TGSは前後半の2部構成からなる展示会で、前半の2日間をビジネスデイ、後半を一般公開日と言います。そして、家族連れや小学生など、だれでも入場できる一般公開日と異なり、ビジネスデイは未成年禁止で、招待者しか入れない大人な日なのです(もしくは高額のチケットを買う必要があります)。そのため、ゲーム業界の関係者やメディア、またインフルエンサーがほとんどで、したがって来場者数も少なく、つまりは平日のディスニーランドよろしく、そこまで並ばずにゲームの最新作を体験できます。

 

2. 文化祭の雰囲気があり、青春を再び謳歌できる。

開催当日に向けて増していくワクワク感と、心地よい疲労感とともにブースの撤収作業をしている際に覚える一抹の寂しさ。展示内容をあれこれと考えたり、当日になって想定外の事態にあたふたしたり。ゲームが世界に誇れる日本の強い文化なのも加味すると、まさに大文化祭と言っていいでしょう。そして高校の文化祭は基本的に3回と有限ですが、TGSはほぼ無限に出られます。

 

3. たくさんのひとにご挨拶できる。

コロナ禍のためTGSがオンライン開催に変更となった際、弊社は出展を見送りました。オンラインでも会話はできますが、対面でのご挨拶に特別価値を見ているためです。後述しますが、出展社は知り合いをTGSに招待できます。賑やかな幕張メッセという広大な場所で、遠くから知人が弊社のブースへ来てくださる。その時の高揚感は、筆舌に尽くしがたいものがあります。ひとの繋がりをダイレクトに感じられるというか、論語の「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」というか。「お久しぶりです!」と笑顔で元気よく挨拶するのは、実に気持ちが良いものです。

また、当然ですが新しい出会いもあります。今年は2日間の14時間で計134名もの方がお越しくださったのですが、そのうちの半分弱は初めましての方々でした。ビジネスデイという名の通り、不思議なご縁でビジネスへと繋がっていくケースも少なくありません。

 

さて、ビジネスの古き知恵である5W1Hのうち、When、Where、Who、What、Why をお伝えできたかと思いますので、最後は残りの How について、時系列で記していければと思います。

 

開催発表会(2~3月)

大体において、TGSの最終日に締めとして「来年もやります!」とアナウンスがあるのですが、改めて「今年もやります!」と宣言してくれるイベントです。コロナ前は格式高いホテルで開かれ、おいしいビュッフェとともに交流会もあったのですが、最近はオンラインでの配信に切り替わりました。その年のTGSのテーマや企画内容、スケジュール等が発表されます。いつかビュッフェにありつける日を夢見ています。

 

申し込み締切(5月)

発表会後、正式な申し込みができるようになります。オンラインで出展に関する資料がダウンロードでき、パッケージプランそれぞれの価格や、広告掲載等の案内があります。弊社の場合は、ビジネスデイ(2日間のビジネスソリューションコーナーのターンキーブースというのを申し込んでいます。1小間あたり間口2m奥行き2mの広さで、お値段は一般価格250,000円、CESA会員だと200,000円です。

 

出展社説明会兼小間位置選定会(7月)

出展社に対してTGS当日に向けた諸注意等の説明や補足がここであります。それらをまとめた説明書、ゲーム風に言うなら攻略本も貰えるのですが、企業によって規模も内容も千差万別となる中で、本当に攻略本のような厚さとなっています。

そして、大事な大事な小間位置選定会が始まります。

  1. 小間数(弊社は1小間のため不利)
  2. 昨年の出展実績(弊社は2019年以降出ていないため不利)
  3. CESA会員か否か(会員のため有利)
  4. 期限前に申し込んだか(守れたため有利)

といった感じで優先順位ができ、呼ばれた企業から好きな小間位置を選んでいきます。初出展で1小間の場合だと、かなり待つことを覚悟したほうがいいかと思います(なんとか改善していただけることを切に願っています)。

また、この日から出展までの間、出展社に用意されたWebサイト上で、事務手続き関連の書類を提出していきます。必須・任意の2種類で結構な数があるのですが、特筆すべきものは、小間数に応じてビジネスデイや一般公開日用の招待券を無料発行できることです(ターンキーブース1でも計110枚。CESA会員だと10枚上乗せの計120枚)。また、特別招待バッジというものあり、10枚まで無料です。ほかにもいくつか無料で発行できる招待枠があるのですが、とりあえず弊社でよく配っている上記2点の簡単な説明を下に記しました。

  • ビジネスデイ事前登録券…来場者が普通に購入すると11,000万円。事前登録が必要ですが、忘れた場合でも当日カウンターへ行けば入場できます。
  • 特別招待バッジ…出展社側が事前申請する社外VIP用バッジ。受け取る側は事前登録なしで招待者入場口からスムーズに入れます。

ビジネスデイのかわりに一般公開日のチケットを発行してもらうことも可能だったり、特別招待バッジとは別に特別招待インフルエンサーバッジもあったりと、とにかく色々と招待できる仕組みとなっています。弊社では、半分をいつもお世話になっているイラストレーターの皆様に、もう半分を知人やゲーム業界に巻き込みたい方々にお送りしています。

東京ゲームショウ(9月)

申請をすれば前日に車を使用して搬入作業ができますが、10時からのオープンに対し出展社は7時から入れるため(こちらも要申請ですが、前日深夜から当日朝まで時間外作業として準備することも可能です)、そこまで装飾するものもない弊社は当日朝9時から設営に勤しんでちょっと間に合わないくらいで済みます。初日オープン前の「嵐の前の静けさ」感は、毎年毎年緊張と興奮の綯い交ぜとなった最高の空気です。また、東京ゲームショウと連動した価格となっていますが、宿泊をされる予定でしたらホテルをかなり早くから取っておくことをオススメします。

ビジネスデイとはいえ最新ゲームの試遊や物販もたくさんあり、休憩がてら色々と楽しめます。

 

夜は海浜幕張から都内に至るまであちらこちらでゲーム業界の懇親会が開かれており、同窓会のような感覚で人々と交流を深めたりもします。弊社はビジネスデイのみなので2日連続くらいですが、前日入りで一般公開日まで出展しているひとは5日連続で飲み明かす場合もあり、本当にタフな方々がゲーム業界を引っ張ってくださっているなあと思います。

 

以上が、5W1HのHowの部分でした。

結びに、TGSの総来場者数について記させていただくと、2023年は24万3238人でした。

 

総来場者数の観点では2019年の26万2076人には届かずでしたが、日ごとの数字を追いかけると

こう推移しており、つまり一般公開日の最終日以外は増えていた、というデータとなっています。ただの憶測ベースで恐縮ですが、今年のTGSはビジネスデイの初日から

「今年はめちゃくちゃ人が多い!もとに戻ったみたいで嬉しい!」

と話題でした。そうして迎えた一般公開日(3日目)は、コロナ前を超える人々が押し寄せ、たくさん並んでは混み、それらはX(旧Twitter)等のSNSで「人が多い!」と拡散されることとなりました。そしてもちろん、2019年と異なり今はWithコロナの時代で、ましてや流行の兆しが垣間見えているという状況でもあったため、最終日に行く予定でTGSの状況を見ていたひとたちが「まだコロナも怖いし、そこまで人が多いなら今年は遠慮しておくか」と判断した結果が最終日に出ているのかなと思っています。ただの憶測です。

さて、なぜここまで数字のことを長々と話しているかというと、総来場者数が100%とすると、ビジネスデイの来場者数は大体その30%なのです。

ざっくり申すと、ゲームを愛する一般ユーザーが70%で、ゲーム業界でなにかビジネスをしている・したいという企業が30%です。

このビジネスデイ来場者を増やしたい。そう強く思っています。

先ほど、招待券が100枚以上配れるとお伝えしました。ということは、出展社が1社増えると単純計算で来場者が100名は増えることになります。つまり、ビジネスデイの出展社が100社加われば1万人が来ます。空いているのがビジネスデイのメリットだと先刻記したのは重々承知の上ですが、それでももっと企業の出展が増えていってほしいと思っています。

ビジネスソリューションコーナーは、ゲーム関連でなにか業務をできそうな企業でしたら、なんでも出展できます。弊社のようなイラスト制作まわり、翻訳といったローカライズ、サウンド関連、なんでもありです。医療や介護、不動産といった他業界でも、コラボの仕方に道筋ができれば出展可能です。日本にゲーム産業ができて40年、今やゲームコンテンツは老若男女が嗜み、楽しめるものとなりました。そして、だからこそゲーム業界は、国内外問わず目下成長産業です。

良いゲームには、たくさんのユーザーとたくさんの企業が必要です。

企業の皆様、ぜひ東京ゲームショウに出展しましょう。わからないことがありましたらご相談ください。最大限お手伝いします。

最後までお読みくださりありがとうございました。