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ゲームクリエイターブランドのグッズ海外展開用施策として進めた取り組みとその波及。

イラスト・ゲームイラスト制作会社ミリアッシュが「日本のゲームクリエイターにあたる光をもっと大きくする」という目的のもと立ち上げたオリジナル企画「ゲームクリエイターブランド」の第2弾に関し、何を海外の企業と取り組み、どう展開したかについて記しています。

 

アメリカはロサンゼルスの会社Matoba Design社の施策は、当初の想像をはるかに越える反響を生み出しました。

2021年4月9日

記事にご興味を持ってくださりありがとうございます。イラスト・ゲームイラスト制作会社ミリアッシュの代表をしている竹谷彰人と申します。

こちらは同年5月7日に口火を切ったゲームクリエイターブランドの第2弾です。ゲーム『.hack』シリーズや『NARUTO -ナルティメット-』、『ドラゴンボールZ KAKAROT』等を手掛けた株式会社サイバーコネクトツー代表松山洋さんに続き、記事の見出しにもある通り『ダンガンロンパ』シリーズを制作したトゥーキョーゲームス代表小高和剛さんにご協力いただき、お披露目となったプロジェクトです。

こちらのリリースを出して間もなく、あるメッセージが届きました。

Saw the Kodaka shirt, holy shit!

The art is amazing,

And I love his stuff. My fiance has beat every Dangan game, and read some of the novels that Kodaka personally penned.

I really want to talk more regarding that project, can we speak over email? I'd like to set up a thread between Myriashue and my company's Head of Ops. 

小高さんのTシャツを観ました、すごいですね!

素晴らしいアートです。

私はかれの作品が大好きで、私の婚約者はすべての『ダンガンロンパ』シリーズをクリアして、小高さんの書かれた小説も読破しています。

このプロジェクトについてもっと話したいのですが、メールでやり取りできますか? ミリアッシュと弊社責任者間でスレッドを作りたいです。

送り主はMattという人物からで、ちょうど一年ほど前の2019年に、Facebookを通じてゆるく繋がっていた方でした。かれはアメリカ合衆国カリフォルニア州はロサンゼルスに拠点を構えるゲーム関連のデザイン会社「Matoba Design」の代表で、もちろん面識はないものの、しかし時折互いの近況を報告し合う、という不思議な距離感でした。

イラスト制作で中国の企業からご相談いただくことは幾度かありましたが、リスクヘッジを兼ねて日本法人を持っている企業かどうか、そして日本語でのやり取りが可能かどうか、を念頭に受託の可不可を判断しておりました。

しかし、アメリカ企業との取引は実績になく、かつ英語での契約です。

すべてが過去に例のないことであり、またMattとは会ったこともなくメッセージを往復するだけの関係です。

是非を悩まなかったといえば、嘘になります。

それでも、ミリアッシュはやる方向に舵を切りました。

「前例がないなら、作るべき」

「海外の企業と契約を結んでビジネスをする、その経験値がほしい」

主な理由としては上記のようなものですが、加えて決定打となったのは、何よりMattのひと柄でした。

How was the SEGA office, by the way? 

ところで、セガのオフィスはどうでしたか?

かれは、ミリアッシュメンバーと同じくゲームが大好きなのです。竹谷のSNSでゲーム関連の投稿を見ては、頻繁にコメントをくれたりしていました。

35年を生きて得た気づきのひとつに、「ゲームを愛するひとに悪いひとはいない」というものがあります。メッセージのやり取りをしていく上で、竹谷はMattのひと柄に惚れていました。

何より、ゲームクリエイターブランドをこれから海外へ展開していこうという矢先に、ゲーム好きな海外企業の代表から協業の申し出が来たのは、まごうことなき天啓だと思いました。

世に絶対なことはありませんが、全身の情熱をもって進めていきたいプロジェクトだからこそ、情熱のある方々と協力する方が、絶対面白いです。

そして、面白いということは、大事なことです。

「ぜひお願いします!Please please OK yeah!!」

そう頼んでから即刻わかったことがありました。予想通りと言えばそうなのですが、Matoba Design社は、驚くほど丁寧かつ情熱的に提案をしてくれる企業でした。

ゲーム愛もやはり最高峰で、竹谷が『PlayStation 5』を入手したことを知るや否や感想を求めてくるほどです。

How has the PS5 been? Is Souls much better than the original? 

PS5はどうですか? 『デモンズソウル』はオリジナルよりはるかに良いですか?

Matoba Design社の提案内容は多岐に渡り、ひとつはミリアッシュのテーマ曲を著名なゲームミュージシャンに作ってもらったり、またひとつはゲームに即したコスプレ大会を開くものだったり、さらなるひとつはゲーム系の人気YouTube番組への出演だったりと、どれも魅力的に思えるものばかりでした。

熟考の末にその中から選んだのは、インスタグラムで人気のモデル・コスプレイヤーさんたちに投稿してもらうという、いわゆるインフルエンサーマーケティングです。

理由はシンプルで、展開しているグッズがTシャツだからです。

プレスリリースに際し、Tシャツそのものの物撮りや、竹谷の着用した写真をプロのカメラマンに撮影していただきましたが、もっと色々な方々のTシャツを着た写真があるに越したことはなく、それが人気モデル・コスプレイヤーの皆様なら渡りに高速船と考えました。

For Game Awards, there was some exciting news! Left 4 Dead is coming? Called 'Back4Blood' I think? 

And Sephiroth is added to Smash? Can he cut stages in half? 

ゲームアワード」では、面白そうなニュースがありました!『Left 4 Dead』が来る?『Back4Blood』がそうかな? 

あとセフィロスが『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』に参戦?? かれはステージを真っ二つにするのかな?

そのさなかにも、ゲームに関する雑談を交わしつつ、終始伸び伸びと連絡を取らせていただきました。ゲーマーはやっぱりセフィロスが大好きなんだなあと、改めて見知った思いです。

その後、より詳細な企画書をもらい、契約書をきっちり締結し、いよいよ来る2020年12月17日、年末にかけたホリデーウィークに合わせ投稿は始まりました。

この日は、JaneさんとDaniさんです。同日にすべて投稿し切ってしまうのではなく、波状的に進めていくとのことでした。

黒いレザーのミニスカートとニーソックスに、モノクロのTシャツを合わせてくださっています。おだんごの髪型も相まって最高にかわいくてクールです。

Janeさんとはまた打って変わって、ニットやボアパーカーのやわらかくあたたかい衣服の中にTシャツを混ぜてくださっています。鮮やかなショッキングピンクは、きっと『ダンガンロンパ』の血をオマージュしていただいたのでしょう。

「は、は、始まった!」とハクション大魔王気味の興奮で社内へ共有しました。モデルの皆様のフォロワーさんたちからいただく反応も、かなり好意的なものばかりでした。

2020年12月19日の投稿です。かなり着崩した状態で、レザージャケットとブーツでまとめてくださっています。フルカラーTシャツのピンクと、髪とタイツの色合いがとても素敵です。

2020年12月25日の投稿です。シンプルにTシャツとカーゴパンツで、スタイリッシュに着こなしてくださっています。ショッキングピンクのスニーカーが、何とも目を引くカッコよさです。

2020年12月31日の投稿です。これまでからガラッと印象が変わり、Tシャツにレザーのストラップを巻き、ピンクのバンダナで合わせていただいています。

5人で歩いている動画も頂戴したのですが、「これは本当にミリアッシュ発の企画なのだろうか」とふわふわした心地がするほど現実感がなく、ただ嬉しかった覚えがあります。

自社で作った商品が、海を越え誰かの手元に届く。

大仰に言うなれば、これは輸出であり貿易です。ミリアッシュは、ここにひとつ新しい商流を作ることができました。

Matoba Design社とミリアッシュが締結した契約は、上記5つの投稿となります。どれも素晴らしいモデルさんたちによる粋な画像ばかりで、コロナ禍の中、色々と手配してもらったMatoba Design社ならびにMatt、そして責任者のAnnaRoseさんには多大な感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

しかし、話はこれで終わりませんでした。

「ゲームクリエイターブランドの話を聞いた英語版『ダンガンロンパ』シリーズの声優さんたちが、有志でTシャツのことを投稿してくれるって言ってるけど、どうする?」

Mattより、俄には信じられないような連絡が来たのです。

「もしかしたら、かれが水面下で動いてくれたのかもしれない」

そう思いながら当然に是と即答し、かれらの希望するTシャツを送りました。国境をまたいで贈呈できるものが自社商品にある、その幸運を強く噛みしめました。

みんな『ダンガンロンパ』の小高和剛さんがデザインされたTシャツを見てください!イラストは『鉄拳』を手掛けるjbstyle.さんが担当しています。このTシャツは日本で印刷され、海外に発送されます。

Derekさんは『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』にて”超高校級の極道”こと九頭龍冬彦(くずりゅう・ふゆひこ)を演じられています。他にもゲーム『キングダムハーツ』シリーズのヴィクセンや、『BLEACH』シリーズの石田雨竜(いしだ・うりゅう)、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのイギー、また『NARUTO』シリーズで油女シノの声も担当されています。

jbstyle.さんと『ダンガンロンパ』の生みの親である小高和剛さんによる素敵な服を手に入れました!日本から国際配送されます。

Kyleさんは同じく『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』にて”超高校級のメカニック”こと左右田和一(そうだ・かずいち)を演じられています。他には『ストリートファイター』シリーズのリュウ、『ドラゴンボール』シリーズの青年孫悟飯(そん・ごはん)、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの花京院典明(かきょういん・のりあき)、また『NARUTO』シリーズで犬塚キバ(いぬづか・きば)の声も担当されています。

声優は報酬としてグッズをもらうことが実際にありますが、今ちょうどjbstyle.さんと『ダンガンロンパ』の作者である小高和剛さんによるグッズを頂きました。このグッズを味わいたいひとは、日本から国際郵送されている下記のサイトを覚えてください。

Kaijiさんは『ダンガンロンパ』シリーズの”超高校級の占い師”こと葉隠康比呂(はがくれ・やすひろ)と”超高校級の昆虫博士”こと獄原ゴン太(ごくはら・ごんた)を演じられています。他には『呪術廻戦』の五条悟(ごじょう・さとる)、『鬼滅の刃』の風柱こと不死川実弥(しなずがわ・さねみ)、また『龍が如く7 光と闇の行方』の春日一番(かすが・いちばん)の声も担当されています。

『ダンガンロンパ』の小高和剛さんがデザインされたこの素晴らしいTシャツを見てください!イラストは『鉄拳』などを手がけるjbstyle.さんが担当しています。このTシャツは日本で印刷され、海外へ発送されます。

Brianさんは『ダンガンロンパ』シリーズの象徴的存在であるモノクマを演じられています。よろしければ、ぜひ動画の音声をお聴きいただければと思います。他には『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの”しげちー”こと矢安宮重清 (やんぐう・しげきよ)、『ドラえもん』の骨川スネ夫(ほねかわ・すねお)、また『BLEACH』シリーズの綾瀬川弓親(あやせがわ・ゆみちか)の声も担当されています。

jbstyleさん、『ダンガンロンパ』作者小高和剛さんをデザインした超クールなTシャツをありがとうございます。もし皆さんも1着欲しければ、以下のリンクからこのTシャツや他のバリエーションを見つけることができます。

Erikaさんは『ダンガンロンパ』シリーズの”超高校級の???”こと霧切響子(きりぎり・きょうこ)を演じられています。他にはアトリエシリーズアーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜』のアーシャ・アルトゥール、『HUNTER×HUNTER』のクラピカ、『ペルソナ5』の高巻杏(たかまき・あん)、『七つの大罪』のエリザベス・リオネス、『鬼滅の刃』の蟲柱こと胡蝶しのぶ(こちょう・しのぶ)、『モンスターハンターライズ』のヨモギ、また『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズのヴァイオレット・エヴァーガーデンの声も担当されています。

このコたちは最も可愛い猫モデルとしてjbstyle.さんと『ダンガンロンパ』の生みの親である小高和剛さんによるTシャツを披露してくれました!このTシャツは日本から国際配送されます。 

※猫は含まれません

Kiraさんは『ダンガンロンパ』シリーズの”超高校級の日本舞踊家”こと西園寺日寄子(さいおんじ・ひよこ)、”超高校級のメイド”こと東条斬美(とうじょう・きるみ)を演じられています。他には『ニーア オートマタ』のヨルハ二号B型通称「2B」、『鬼滅の刃』の恋柱こと甘露寺蜜璃(かんろじ・みつり)、『ラブライブ! School idol project』の園田海未(そのだ・うみ)、またアトリエシリーズアーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜』のニオ・アルトゥールの声も担当されています。

そしてさらには、声優さんではなくeスポーツ業界の方からも投稿いただくというご縁をいただきました。女性で初めて『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』の公式大会でメインキャスターを務めたVikkiKittyさんです。

jbstyle.さんがイラストを担当し、『ダンガンロンパ』の生みの親である小高和剛さんがデザインされたこの病的なTシャツを手に入れることができ、とても興奮しています!!!

様々なバリエーションがあり、非常に快適な着心地です。 

このTシャツは日本で印刷され、海外に発送されます。

VikkiKittyさんは、2017年に任天堂公式のキャスターとして世界最大のゲーム祭典である「E3」の『ARMS』と『ポッ拳』トーナメントに参加されたり、2020年の「EVO Japan」で来日されたり、2021年は『オーバーウォッチ・リーグ』のトーナメントにもキャスティングされています。

本来、このようなすごい方々にプロモーションをお願いするとしたら、ちょっと予想もできないような算盤になりそうです。それを、「ゲームが好き・ダンガンロンパが好き」という心意気だけでここまでしていただけるとは、まったくもって思考の外でした。アメリカのゲーマー業界の皆様のあたたかさに、心から深い感謝を申し上げるとともに、日本のゲームコンテンツが愛されていること、そしてその強さを再認識した次第です。

正直に申し上げて、ゲームクリエイターブランドの売上は当初想定していた進捗にはまだ程遠く、日々どうにか売り方を模索している段階です。恥を外聞も承知で申しますが、赫と書きたくなるほど赤字です。シェア・拡散にご協力いただいた皆様、またご購入くださった皆様には、謝恩以外ありません。

しかし、その中で、新たに気づいたことがありました。

「商品がある」ことは、「売りたいものがある」こと。何だか当たり前のことなのですが、これは弊社にとって大きな学びでした。

ミリアッシュは、イラスト・ゲームイラスト制作専門の制作会社です。市場としてはかなりニッチなところに立っていて、知人に事業内容を伝えると「そういう仕事もあるんだなあ」と驚かれることも少なくありません。

そしてイラスト制作は、これも当然のことなのですが、クライアント様があって初めて成り立つ仕事です。ご依頼を”受け”て制作を進めさせていただく、その文字通り、受動的なものです。もちろん、完全な受け身とならないよう能動的にご提案させていただいてはおりますが、最終的にご判断いただくのはクライアント様です。

対して、ゲームクリエイターブランドのグッズ展開は、他でもないミリアッシュ発の事業であり、能動的にしかなれないものです。

つまり、エンジンを積み燃料を注ぎ装甲を貼れば貼るだけ、どこまでも前進できます。

「売りたい、もうすごい売りたい」と試行錯誤を重ねるうち、応援いただく方や、ご協力いただく方も増えて参りました。この記事でずっと書かせていただいたMatoba Design社のMattや、インスタグラマーの皆様、そして声優やeスポーツコメンテーターの方々、かれらとの繋がりは、ミリアッシュがイラスト制作の受託をしていただけでは決して築けなかったもので、見ることの能わなかった景色です。

「商品がある」から、これまでとは違ったビジネスができる。

そして、学びはもうひとつあります。

現在ミリアッシュは、海外在住の日本の方からご相談をお受けしているのですが、その方は知人からの紹介というわけでなく、通常のお問合わせフォームを経由してご連絡をいただきました。

「どうして、数あるイラスト制作会社の中から、弊社に辿り着いたのですか」

お会いした際にこうお尋ねしたところ、下記のようにお応えいただきました。

「海外へグッズを展開なさろうとしているので、一緒に何かビジネスをしたいと思いました」

ゲームクリエイターブランドの目的は、「日本のゲームクリエイターにあたる光をもっと大きくすること」です。その先鋒の手段として、Tシャツやステッカーを国内外へ販売しています。

その手段それ自体が、知らぬまま、次なるご縁の端緒となっていました。

引用しすぎて「またか」と思われるかもしれませんが、『HUNTER×HUNTER』のジン・フリークスの言葉にこのようなものがあります。

『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博/集英社)32巻より引用

俺が一番嬉しかったのは、ずっと願ってた王墓の「真実」を目の当たりにしたことじゃなく、いっしょに中に入った連中と顔を見合わせて握手した瞬間だった。

大切なものは、ほしいものより先に来た。

繰り返しますが、ゲームクリエイターブランドの目的は「日本のゲームクリエイターにあたる光をもっと大きくする」ことです。その手段として、グッズを国内外へ販売しています。 

そして、そう思ってせっせとビジネスで汗をかくことが、また別の大切なものをミリアッシュへ運んでくれる。

こういう風に投稿いただくことも、本当に嬉しく、ありがたいことです。

しかし、ミリアッシュだけが喜ぶ結果で終わって良いわけがありません。サイバーコネクトツー代表の松山洋さん、トゥーキョーゲームス代表の小高和剛さん、デザインをご担当いただいているイラストレーターjbstyle.さん、そして次弾をご期待いただいているすべてのゲームクリエイターファンの皆様にもっと喜んでもらえるよう、結果を伴わせていかねばと頭を捻り続けています。

考え続けます。「商品がある」ことを、大切に思いながら。

歩く限りは、近づいていますから。

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お読みくださり、誠にありがとうございました!